2025年8月19日、僕は渋谷センター街の井ノ頭通りへ足を踏み入れた。目的地は渋谷ロフト! ではなく、その前にある(らしい)道祖神!

渋谷の街中、しかも、渋谷センター街の中心にある道祖神がどんな姿かたちをしているのか、興味津々だった。
道祖神は、村の内と外の境界や未知の辻などに祭られる神様。旅の安全を守ってくれる神様と考えられることが多いが、もともとは村の守り神だった。災いが村に入ってくるのを防ぐと同時に、子孫繁栄などの福をもたらすという。子孫繁栄というからには、道祖神の中には男性の象徴をかたどったものもある。
渋谷は「若者の街」。若者は精力旺盛。そんな彼らを見守る道祖神なら、もしかしてその形は……。



僕の邪な期待を裏切って、渋谷ロフト前には双体道祖神がちょこんと座っていた。双体道祖神とは、男女の神が一緒に彫られた石像だ。二神は手を取り合っていたり、接吻していたりして、仲睦まじいのを見せつけてくる。渋谷ロフト前の道祖神は女性の神が男性の神と肩を組んでいる。恋人いない歴うん十年の独身男性にとっては腹立たしい。
「若者の街」だから、二神はこのままラブホ直行の可能性もあるが、ここで踏みとどまってお役目を果たしているようだ。渋谷ロフトと渋谷センター街の境界を守り、おしゃれなイメージのあるロフトに野蛮な若者たちが侵入するのを防いでいるに違いない。そう考えれば、二神が肩を組んでいるのはスクラムを組んでいるからで、性的な意味合いは一切ないとも解釈できる。そう解釈したい(笑)
さて、「SEIBU SOGO TransCulture | 西武・そごう トランスカルチャー」というサイトによると、この道祖神は「1980年代、ロフト館の誕生にあわせて館の前に設置されました」とのこと。もともとこの地に鎮座していた道祖神ではなく、新宿ロフトとともに誕生した新しい神様だ。一種のアート作品なのだろう。
いずれにしても、道行く人たちは道祖神に見向きもしない。そんな中で、僕だけが道祖神の写真を撮りまくっていて、傍から見たら不審者だ。道祖神が防ぐべき災いは僕だったのかも……。
この後、僕は井ノ頭通りを北西へと進んで行った。途中で「サクサクサンクス35周年」の看板を見つけ、「『ポリンキー♪ポリンキー♪ 三角形の秘密はね♪』のテレビCMを初めて見たときから35年も経ったのか……」と、四十代のおっさんは一人で悲しくなった。


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